元素

周期表
周期表と呼ばれる配列で並べて分類することでそれぞれの元素の性質や個々の元素同士の関係をより系統的に理解できるようになります。

元素あるいは化学元素(chemical element)とは私たちの生きている世界に存在するあらゆる物質を構成する基本的な要素を表す概念です。化学では現在118種類の元素が知られています。

「元素」と「原子」の違い

「元素」と混同しやすい概念に「原子」があります。高校化学でもこの2つの概念を区別できているか試す問題が出題されることがあります。これらの概念の本質的な違いとは何でしょうか。

簡単に言えば元素というのは種類で原子というのは個体です。種類は説明しなくてもわかると思いますが共通の性質をもつものをまとめて同類としたもの、つまりグループのことです。例えば犬なら柴犬、秋田犬、ラブラドールレトリバー、チワワなどが種類です。犬種とも言いますね。犬の場合これらの種類に分類できないものはまとめて雑種と呼ばれますが、化学ではこの世界に存在するすべての原子は例外なく元素と呼ばれるグループに分類できます。そういう意味では元素と犬種が対応します。

そして個体というのはそのグループに属する成員のことです。柴犬というグループはそれぞれ個性を持っていて互いに区別できる個体によって成り立っています。注意しなければならないのは個体というのは現実に存在する対象だけのことではないということです。過去に存在していた柴犬も数年後に生まれるであろう柴犬もあるいは想像上の柴犬も柴犬という種をを構成する成員であるという意味で等しく個体です。柴犬の場合おそらくほとんどすべての個体が人間に飼われていてそれぞれに固有の名前が与えられていると思います。例えばイチローの飼っている一弓は個体で種類は柴犬です。犬の場合は個体と種類が別の名前であることが多いので紛らわしくありませんが、化学では個体としての原子も種類としての元素も全く同じ名前で呼ばれるので紛らわしいことがあります。犬の例を化学に当てはめれば一弓やが原子で柴犬という種類名が元素になります。

要するに「元素」とは種類の名称であり「原子」とはそれに含まれる各個体のことであるといえます。数学の集合の考え方で言えば「元素」は集合の名前で「原子」はその集合に含まれる元を指します。

参考文献

  • 斎藤一夫 『元素の話』 培風館、1982年。ISBN 4-563-02014-1。